1995年の春のことだと思う。旅行先の大阪で版画を中心に扱う加藤京文堂という書店にふらりとたちよった。扱う世界が興味深く、心地よい感動を覚えながらしばらく時間を過ごした。
店内では北川健次銅版画集展と題して「サン=シェルピスの見えない庭園」などの新旧版画作品とコラージュ作品の小さな展覧会が開催されていた。版画の世界に詳しいわけではない私ではあるが、その作品は記憶から離れることはない。10年以上前に偶然にであった展覧会のDMを手放すことが出来ずに、手元に置いてあった(写真)。「逡巡する九月ープラハ」という作品が私の心を捉えて放さない。そんなことは多くあるものでもない。不思議な力でとどまる世界。
けれども、具体的な作家像を持ちたくない気持ちが強くて(かなり屈折していると思うが…)手元のDMと記憶と遊ぶ時間が10年ほど続いた。
どうしたことか昨年になって、作者が気になりだし、調べてみるとかなり有名な方だった。「北川健次オフィシャルサイト」を覗くとあの記憶通りの世界…少し安心した。点と線…時間がワープするように…繋がれてゆく感覚は…。
2004年12月に出された『「モナ・リザ」ミステリー』(新潮社)を読み終えた。
かなり話題になっていた本だ。文章もすてきだ。作品と同じ印象。分析も興味深い。幼き頃よりダ・ヴィンチの作品群の中で不気味さを感じていた「洗礼者ヨハネ」に対する考察も一人で納得しきり…。収録されている別稿のフェルメール「デルフトの暗い部屋」も、フェルメール好きの私としては、心に残った。
画集ほしいな…。
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